ヴィクトリアマイル2022 馬券検討のポイント

東京競馬場での5週連続G1の第二戦。前週のNHKマイルCに引き続いてのマイルGⅠ。女王グランアレグリアが引退したことで一気に混戦ムードのメンバー構成。芝に戻って巻き返しを図りたいソダシ・マイル路線活路を見いだしたいレイパパレ・高松宮記念記念ので雪辱をはたしたいレシステンシア、サウジからの凱旋レースとなるソングラインに昨年の秋華賞馬ファインルージュ、さらには本格化の兆しを見せるクリノプレミアムに、故障から復帰の3冠牝馬デアリングタクト。有力候補と目される馬にはいずれもウィークポイントがあるだけに予想する側にとっては非情に難解な一戦。

ヴィクトリアマイル 出馬表

2022年 5月15日(日) 2回東京8日目 18頭 [15:40発走]
【11R】  第17回ヴィクトリアマイル
4歳以上・オープン・G1(定量)(牝)(国際)(指定) 芝1600m (B)
馬名斤量替 騎手 調教師
1 1デアリングタクト 55 松山弘平(栗)杉山晴紀
1 2ソングライン 55*池添謙一(美)林徹
B2 3メイショウミモザ 55 鮫島克駿(栗)池添兼雄
2 4マジックキャッスル 55*戸崎圭太(美)国枝栄
3 5ソダシ 55 吉田隼人(栗)須貝尚介
3 6ディヴィーナ 55*武豊(栗)友道康夫
4 7レシステンシア 55 横山武史(栗)松下武士
4 8クリノプレミアム 55 松岡正海(美)伊藤伸一
5 9アブレイズ 55 菅原明良(栗)池江泰寿
B510ローザノワール 55 田中勝春(栗)西園正都
611ファインルージュ 55 C.ルメー(美)木村哲也
612ミスニューヨーク 55 M.デムー(栗)杉山晴紀
713レイパパレ 55 川田将雅(栗)高野友和
714アカイイト 55 幸英明(栗)中竹和也
715アンドヴァラナウト 55 福永祐一(栗)池添学
816デゼル 55*藤岡康太(栗)友道康夫
817シャドウディーヴァ 55*坂井瑠星(美)斎藤誠
818テルツェット 55*D.レーン(美)和田正一

芝1600m補正タイムランキング(能力比較)

レコード勝ちとなったソダシの2021年桜花賞は秀逸の時計。勝ち馬シュネルマイスターが直後の安田記念で3着になったように昨年のNHKマイルCも時計レベルでは昨年のヴィクトリアマイルよりも高レベル。これら4歳馬が昨年の時計だけ走れれば、これらと5歳以上の古豪との対決という構図で把握しておくのが勢力把握として無難。
ただ、東京芝1600mコースは長い直線・早い時計・早い上がりという傾向が強いコースでもあり同コース実績は重視しておくべきファクターといえる。レイパパレは初めてとなる東京コースの克服が鍵。馬がかわってきたクリノプレミアムも今の状態なら東京で通用するかどうかのジャッジがポイントに。

【参考】東京コース実績(OP以上)

  • デアリングタクト JC3着
  • ソングライン NHKマイル2着富士S1着
  • マジックキャッスル クイーンC2着・オークス5着・ヴィクトリアマイル3着
  • ソダシ アルテミスS1着・オークス8着
  • レシステンシア NHKマイル2着・ヴィクトリアマイル6着
  • クリノプレミアム キャピタルS11着
  • アブレイズ メイステークス1着・オークス17着
  • ローザノワール 府中牝馬S11着
  • ファインルージュ 東京新聞杯2着・オークス11着
  • ミスニューヨーク 府中牝馬S12着
  • アカイイト 府中牝馬S7着
  • デゼル ヴィクトリアマイル8着 府中牝馬S16着 オークス11着
  • シャドウディーヴァ 府中牝馬S1着・2着・東京新聞杯2着・フローラS2着・オークス6着
  • テルツェット ヴィクトリアマイル14着

【参考】補正タイムランキング(1200m~2000m)

展開予想

  • 逃げ ⑩ローザノワール
  • 好位 ⑦レシステンシア ⑤ソダシ ⑬レイパパレ
  • 中位 ①②③⑧⑪⑭⑮
  • 後方 ④⑥⑨⑫⑯⑰⑱

レースの展開はローザノワールが主張するかしないかで大きく変わりそう。高松宮記念みたいな好スタートになってしまえば、エンジンの違いでレシステンシア・ソダシがハナに立つというケースも考えられないわけではないが、東京マイルという舞台を考えればどちらも「ローザノワールにいってもらいたい」と考えたくなるもの。レイパパレはレシステンシア・ソダシを見ながらのポジションになるのが濃厚と思われるが、初のマイル戦で乗り方を変えてくるかどうかに注目。

想定ペースは、1000m57.3~58.2秒(良馬場・稍重)/57.8秒~58.5秒(重馬場)
※ローザノワールが2021府中牝馬Sで逃げたときは1000m59.4(スロー)

レース上がりは、良馬場なら34秒台前半まで、稍重~でも34.5前後までという想定で、中団より後ろの馬であれば33秒台~32秒台の末脚が必要。雨になれば逆に「前半ペースに抑制がかかることで上がりが早くなる」というケースも想定しておきたい(2017年・2018年の例)。

上がり3Fタイムランキング

「直線入り口で先頭から1秒以内」&「上がり33秒前半以下」というのが基本的な勝ち馬プロファイル。

ヴィクトリアマイルは上がりが早くなければ勝ち負けにならないという傾向の強いレースで、直近5年で3着内にきた馬はすべて上がり33秒台以内(※稍重で実施された2017年・2018年を含む)の馬。上がり3F34秒台では切れ負けしてしまうケースが多いことに注意。一番わかりやすい例は2018年・2019年のアエロリットで、33秒台のあがりがつかえないのでヴィクトリアマイルでは切れ負けするが、レースの流れがさらに厳しくなることで34秒の上がりでも足りる安田記念(や毎日王冠)では馬券になれるというタイプ

出走馬の過去レースでの上がり3Fタイムは上記のとおりで、マジックキャッスル・デゼル・シャドウディーヴァの3頭の補正タイム85以上のレースでも上がり33秒5以下のタイムを出していてヴィクトリアマイルへの適応力が高そうといえる。ただ、これらのタイプはポジション取りが課題で早い上がりを繰り出しても「差し届かない」というおそれも。その意味でも道中のペース(先頭との差)が大きなポイントになってくる。

注目馬

現時点(金曜夕方)では当日の馬場状態がわからないので最終結論は出しづらいが、出走馬の過去走データから注目しておきたい馬は下記の馬

軸馬候補

  • ファインルージュ
  • マジックキャッスル
  • アンドヴァラナウト
  • クリノプレミアム
  • デゼル

東京1600mでの切れ味勝負への適性が高いと思われる馬を上位に。道中のポジションも含めて安定感があるのはルメール騎乗のファインルージュだが、配当的には他の4頭の方が妙味が高そう。過去傾向分析でも触れているが「人気のないディープインパクト産駒」はこのレースの狙い目でもある。レースまで雨が残るようならオルフェーヴル産駒のクリノプレミアムにとってはプラスになりそう。あとは前走が内枠が仇となり出し過ぎて差されてしまったアンドヴァラナウトの見直し。ローズSのイメージで競馬ができれば1発があってもおかしくない。

相手候補

  • ソングライン
  • ソダシ
  • デアリングタクト
  • レシスンテンシア
  • アブレイズ
  • テルツェット
  • レイパパレ

ソングラインは1枠2番が乗りづらそう・・・ということで評価を下げた結果に。ソダシ・レシステンシアは「前に行く」という前提でターゲットにされる分の割引。特にソダシは同じクロフネ産駒のアエロリットと同じタイプで33秒台前半の上がりになると切れまけして3・4着・・・というイメージが拭えない。レシステンシアについては2020年の高松宮記念のような乗り方がないわけではないので注意しておきたい。レイパパレは、やはり「東京での早い上がりの克服」が大きなポイントで、これまでのレース振りだけで判断すればヴィクトリアマイル向きではないという印象の方が強い。デアリングタクトはいうまでもなく長欠明けで早い上がりの競馬はキツそうというジャッチだが、雨で全体的に時計がかかるようなことになれば1発があるかも。テルツェット・アブレイズも良よりは雨が残った方がよさそう。