牝馬重賞路線整備の一貫として、2006年に上半期における古馬牝馬のチャンピオンレースとして新設された古馬牝馬限定G1レース。上半期はヴィクトリアマイルを頂点に、下半期はエリザベス女王杯を頂点とした牝馬重賞体系が確立された。なお、ヴィクトリアマイルの1~3着馬には当該年に行われるジャック・ル・マロワ賞(フランスGⅠ)およびムーンラン・ド・ロンシャン賞(フランスGⅠ)への優先出走権が与えられるほか、優勝馬には当該年のブリーダーズカップ・フィリー&メアターフへの優先出走権が与えられる。
ヴィクトリアマイル 過去レース(全16回)のラップタイム
馬場 | 年 | 200 | 400 | 600 | 800 | 1000 | 1200 | 1400 | 1600 | RPCI | 勝ち時計 |
稍 | 2006 | 12.6 | 11.2 | 11.6 | 12.1 | 12.2 | 11.4 | 11.3 | 11.6 | 54.0 | 01:34.0 |
良 | 2007 | 12.3 | 10.8 | 11.7 | 11.8 | 11.6 | 11.2 | 11.2 | 11.9 | 49.6 | 01:32.5 |
良 | 2008 | 12.4 | 11.3 | 12.0 | 12.2 | 12.1 | 11.2 | 11.0 | 11.5 | 58.0 | 01:33.7 |
良 | 2009 | 12.2 | 10.8 | 11.7 | 12.0 | 11.9 | 11.2 | 10.9 | 11.8 | 53.3 | 01:32.5 |
良 | 2010 | 12.2 | 10.6 | 11.0 | 11.7 | 12.0 | 11.6 | 11.3 | 12.0 | 44.7 | 01:32.4 |
良 | 2011 | 12.0 | 10.6 | 10.9 | 11.1 | 11.3 | 11.6 | 12.0 | 12.4 | 35.2 | 01:31.9 |
良 | 2012 | 12.2 | 10.9 | 11.3 | 12.0 | 11.8 | 11.5 | 11.2 | 11.5 | 50.1 | 01:32.4 |
良 | 2013 | 12.4 | 10.8 | 11.4 | 11.7 | 11.9 | 11.4 | 11.2 | 11.6 | 50.1 | 01:32.4 |
良 | 2014 | 12.4 | 10.7 | 11.6 | 11.5 | 11.8 | 11.4 | 11.2 | 11.7 | 49.1 | 01:32.3 |
良 | 2015 | 12.1 | 11.0 | 11.2 | 11.2 | 11.4 | 11.2 | 11.6 | 12.2 | 42.5 | 01:31.9 |
良 | 2016 | 12.3 | 10.4 | 11.1 | 11.9 | 11.5 | 11.4 | 11.3 | 11.6 | 46.7 | 01:31.5 |
稍 | 2017 | 12.6 | 11.2 | 11.8 | 12.3 | 12.2 | 11.1 | 10.8 | 11.9 | 57.8 | 01:33.9 |
良 | 2018 | 12.4 | 11.3 | 11.5 | 11.6 | 11.5 | 11.1 | 11.2 | 11.7 | 51.4 | 01:32.3 |
良 | 2019 | 12.3 | 10.6 | 10.8 | 11.1 | 11.3 | 11.2 | 11.5 | 11.7 | 43.0 | 01:30.5 |
良 | 2020 | 12.0 | 10.9 | 11.3 | 11.4 | 11.1 | 11.2 | 11.1 | 11.6 | 47.2 | 01:30.6 |
良 | 2021 | 11.9 | 10.8 | 11.6 | 11.7 | 11.6 | 11.2 | 10.9 | 11.3 | 52.4 | 01:31.0 |
スタートからゴールまで一貫して11秒台のラップが続きスピードの持続力が求められるレースといえる。特に良馬場時の上がり3F(平均)は「11.3-11.3-11.8(34.4)」とかなり早い時計になるためこれを後ろから差すには33秒前半~32秒台の末脚が必要になる。
ヴィクトリアマイル 前後半ラップタイムの比較
レース創設からこれまでの過去16年(のうち良馬場開催の14回)の平均値をとると、前半3F34.4-上がり3F34.2、前半4F46.0-後半4F46.0、1000m通過57.7。1週前に行われるNHKマイルよりも全体時計がやや早くなる。にもかかわらず平均RPCI48.1となっていて後半(特に上がり3F)の時計の早さが目立つレースといえる。
ヴィクトリアマイル 1~3着馬の脚質分布
高速馬場必至の5月の東京競馬場といえ1000m通過平均が57秒台&レース上がり34秒台では先行勢はかなり苦しくその1・2列後ろの中団勢が優勢という結果に。ただ、上がり3F最速の馬の複勝率が60%にとどまっているように、さらに後方にいる馬が直線の脚だけで勝ちきる(馬券になる)にはレース上がりが早すぎるといえる(下記参考)。例年はヴィクトリアマイルの週から前週までのAコースからBコースに変わる点にも注意しておきたい。
【参考】上がり3F1位の馬の残り3F地点差ごとの着度数
残り3F地点で1.3秒以上離されると馬券内にくる確率がかなり低くなるという結果に。残り3F地点で2秒以上離されていたにもかかわらず2着なったのは2011年のブエナビスタで、馬の能力だけでなく1000m55.9(RPCI35.2)という猛烈なハイペースという事情もあった特殊な例。
ヴィクトリアマイル 人気別の傾向
1番人気は過去16回で5勝、直近10年で3勝。複勝率でも50%台で信頼できるとは言いがたい数値。1番人気による5勝のうち4勝は単勝1倍台に指示された「抜けた実力馬」(ウォッカ・ブエナビスタ・アーモンドアイ・グランアレグリア)。逆のこといえば、そのような「抜けた馬」以外の1番人気は疑ってかかる余地があるということ(下記参照)。
また、2番人気は2勝しているものの直近10年では3着が1例あるだけで全く信頼できない状況に。出走メンバー次第では「頭から荒れる」ことも念頭に馬券検討したいレース。
【参考】ヴィクトリアマイル 1番人気の単勝オッズ別着度数
ヴィクトリアマイル 前走レース(ローテーション)別の傾向
阪神牝馬・中山牝馬→ヴィクトリアマイル組と牡馬相手のG1戦(大阪杯・高松宮記念・ドバイ組)との対決の構図。近年は牝馬のレベルも高くなっていることから少なくとも前走重賞以上の出走でないと通用するのは難しい。
ヴィクトリアマイル 年齢別の傾向
数では4歳・率では5歳という結果。4歳馬は出走頭数も多く古馬との比較の面でもその取捨が馬券の大きなポイントに。これまでの傾向としては、キャリアの多い馬ほど信頼度が高い(下記参照)。
【参考】ヴィクトリアマイル 出走4歳馬のキャリア数別着度数
テンからゴールまで流れも厳しいフルゲート必至の競馬になるだけに、レース経験があることの強みが活きるという結果に。
ヴィクトリアマイル 種牡馬別の傾向
ディープインパクト産駒が4勝2着5回。ディープインパクト産駒というと人気馬のイメージが強いがこのレースでは人気薄のディープインパクト産駒の好走例も少なくなく、4勝のうち2勝は単勝15倍以上(2018年ジュールポレール(8番人気)・2014年ヴィルシーナ(11番人気)。あとはリピーター傾向のあるレースということにも注意しておきたい。
ヴィクトリアマイル 騎手別の傾向
ルメールが3勝もそのうち2頭はグランアレグリアとアーモンドアイ。内田・戸崎の2勝もヴィルシーナ・ストレイトガールの1頭によるもの。騎乗馬の人気に対して結果が悪いのはM・デムーロ。
【参考】ヴィクトリアマイル M・デムーロ騎手の騎乗馬成績
ヴィクトリアマイル 枠番・馬番別の傾向
3枠・6枠を中心に内か外かという分布で真ん中の4・5枠は劣勢気味。また、ゲート後入れになる偶数馬番の成績の方が奇数馬番よりも好成績(連対率は2倍の開き)になっている点にも注目。
ヴィクトリアマイル 過去傾向の分析 まとめ
- 11秒台のラップが続き「スピードの持続力」を問われるレース
- 1000m57秒後半~58秒前半の緩みのない展開
- レース上がり34秒台を差せる鋭い末脚
- 後方におかれる馬には厳しい条件
- 「頭荒れ」にも警戒が必要
- 前走GⅠもしくは阪神・中山牝馬ステークス
- キャリアの少ない4歳馬は過信禁物
- 「人気薄」のディープインパクト産駒
- リピーターに警戒
- 中枠は割引