オークス 過去20年の傾向と分析

正式のレース名は「優駿牝馬(オークス)」。イギリスのオークスステークスにならって繁殖牝馬の選定レースとして創設された。創設当初は阪神競馬場2700mで実施されていたが、1943年からは芝2400mに変更され、1946年からは現在の東京芝2400mでの実施に。グレード制が導入された1984年からGⅠ格付け。

オークス 過去20年のラップタイム

馬場20040060080010001200140016001800200022002400勝ちタイムRPCI
200212.710.812.713.012.612.712.912.412.012.211.612.102:27.753.0
200312.611.112.312.612.612.713.113.412.711.511.111.802:27.562.6
200412.611.412.613.112.312.712.912.512.111.211.412.402:27.258.1
200512.611.313.212.112.913.413.112.612.211.510.912.002:27.864.7
200612.510.911.311.611.812.412.813.513.211.612.212.402:26.248.8
200712.611.011.611.812.112.812.712.512.411.811.412.602:25.349.9
200812.510.612.812.812.712.913.012.912.911.311.812.602:28.856.0
200912.411.312.312.512.512.512.612.612.611.711.112.002:26.157.6
201012.210.912.312.412.813.113.313.513.512.011.512.402:29.956.4
201112.911.211.812.412.412.212.812.212.511.811.512.002:25.753.7
201212.610.911.612.012.011.912.412.312.212.111.811.902:23.747.9
201312.511.112.112.011.911.812.412.912.812.011.811.902:25.250.4
201412.410.612.212.812.712.712.812.512.012.011.911.902:26.555.2
201512.510.612.513.012.712.612.511.911.911.311.611.902:25.055.9
201612.310.712.112.312.412.512.912.612.711.411.511.602:25.057.9
201712.711.612.812.612.012.312.312.111.611.311.211.602:24.159.2
201812.611.112.011.912.012.212.412.312.412.211.111.602:23.853.3
201912.510.911.711.912.112.212.312.211.711.411.612.302:22.849.1
202012.311.112.012.312.112.713.012.612.111.211.211.802:24.459.0
202112.511.111.812.312.212.612.612.412.111.311.711.902:24.554.4

テンと上がりが早く真ん中はゆっくりという前半と後半がちょうど正対称のような形になるラップタイム傾向。展開上のカギを握るのは向正面450m(800m~1400m)のペース。折り合いを欠いた馬などで想定外の乱ペースになれば上がり時計を要する展開に様変わりすることも。通常の展開であれば、前半1000m60~61秒/後半1000m59~60秒、上がり3F35秒~35.5秒の後傾ラップになる。

オークス過去20年 1~3着馬の脚質分布

東京芝のコースで行われる他のレースと同様に「早い上がり」が重要となるレースで、上がり3F最速の馬の複勝率は80%を超える。とはいえ、レース全体の上がりも決して遅くないので、良馬場時のレースでは最後の直線を平均11秒台のラップであがってこれなければ勝ち負けに持ち込むことは難しい。そのため、2400mが初経験となる馬が大半のオークスでそれを前でしのぐのは非常に難しく「差し馬が圧倒的強いレース」といえる。過去20年で逃げ切り勝ちとなったのは、2004年のダイワエルシエーロの1例のみ。

RPCIと勝ち馬の上がり3Fタイムの分布

近年のオークスは、「2400m戦での上がりの早さ(最後の直線でのスピード)」を競うレースといってよい。それぞれのレースで求められる上がりの早さは道中ペース(特に1コーナーから3コーナ進入までの1000のペース)との相関関係が強い。一応の整理としては、例年通りのペースであれば34.5以下(黄色の枠)、スローペースでは33.5秒以下(赤の枠)と早い上がり時計が要求され、馬場が渋ったコンディション(上記グラフ緑マーカー)でも35秒前半以下の上がりタイムが求められるといえる。

オークス 過去20年 枠番・馬番別の傾向

枠番 着別度数 勝率 連対率 複勝率
1枠 2- 4- 3-31/40 5.0% 15.0% 22.5%
2枠 6- 2- 1-29/38 15.8% 21.1% 23.7%
3枠 0- 2- 4-34/40 0.0% 5.0% 15.0%
4枠 1- 2- 2-35/40 2.5% 7.5% 12.5%
5枠 5- 3- 3-29/40 12.5% 20.0% 27.5%
6枠 0- 0- 2-38/40 0.0% 0.0% 5.0%
7枠 5- 3- 3-49/60 8.3% 13.3% 18.3%
8枠 2- 3- 2-51/58 3.4% 8.6% 12.1%

馬番着別度数勝率連対率複勝率
1番  0-  3-  0- 17/ 200.00%15.00%15.00%
2番  2-  1-  3- 14/ 2010.00%15.00%30.00%
3番  3-  2-  1- 13/ 1915.80%26.30%31.60%
4番  3-  0-  0- 16/ 1915.80%15.80%15.80%
5番  0-  1-  2- 17/ 200.00%5.00%15.00%
6番  0-  1-  2- 17/ 200.00%5.00%15.00%
7番  1-  2-  1- 16/ 205.00%15.00%20.00%
8番  0-  0-  1- 19/ 200.00%0.00%5.00%
9番  3-  1-  1- 15/ 2015.00%20.00%25.00%
10番  2-  2-  2- 14/ 2010.00%20.00%30.00%
11番  0-  0-  0- 20/ 200.00%0.00%0.00%
12番  0-  0-  2- 18/ 200.00%0.00%10.00%
13番  3-  2-  0- 15/ 2015.00%25.00%25.00%
14番  1-  1-  3- 15/ 205.00%10.00%25.00%
15番  1-  0-  0- 19/ 205.00%5.00%5.00%
16番  0-  1-  1- 17/ 190.00%5.30%10.50%
17番  1-  1-  1- 17/ 205.00%10.00%15.00%
18番  1-  1-  0- 17/ 195.30%10.50%10.50%
偶数  9-  7- 14-147/1775.10%9.00%16.90%
奇数 12- 12-  6-149/1796.70%13.40%16.80%
大外  1-  1-  0- 17/ 195.30%10.50%10.50%

2枠が6勝5・7枠が5勝と他枠をリード。ダービーと違って1枠の優位性が小さい点は興味深い(現在の仮柵ローテーションでは、オークスはBコースで行われ、翌週のダービーはCコースで行われる)。牡馬よりもデリケートといえる牝馬同士の戦いなだけに「最内で外から被されるリスク」や「内の狭いところでごちゃつくリスク」の影響が大きいということなのかもしれない。実際、内枠よりもポジションの取りづらそう(内からも外からもよられそう)な3枠・6枠は過去20年で勝ち馬がでていない。正面スタンド前からの発走となるので「後入れ」となる偶数馬番の優位性が高そうともいえるが、実際の結果としては奇数・偶数による大きな差はない(むしろ奇数馬番がやや優勢)。

オークス 過去20年 人気別の傾向

1番人気は、過去20年で8勝。そのうち5勝が直近10年のもので、直近10年での複勝率は80%で信頼度は高い。過去10年の1番人気で馬券外に沈んだ2頭は、2021年のソダシと2012年のミッドサマーフェアで、これは結果論ではあるがどちらも「距離に限界があったタイプ」といえそう。過去20年と過去10年では過去10年の方が人気サイドよりにシフトしている傾向にあるといえるが、2・3着荒れの余地は十分。特に、「桜花賞の敗戦だけ」を理由に嫌われたタイプの激走(巻き返し)には要注意(下記「前走レース別傾向」も参照)。

オークス 過去10年の配当

 単勝配当馬連馬単3連複3連単
20125608201900664030610
20132850138803112015610150480
20149803801730153012850
201568011603030414020150
201620042065020705790
201724022902790460020130
2018170119014107503360
2019400251402821028240179960
2020160180019501502042410
202189018804690109190532180
最低配当1603806507503360
最高配当28502514031120109190532180
中間値48014952370562025380

近年は、デアリングタクト・ラヴズオンリーユー・アーモンドアイといった「強い人気馬」が人気通りの走りをしていることもあり単勝配当は落ち着いている。ただ、ほとんどの出走馬にとって未知の距離である2400m戦ということで伏兵が2・3着に飛びこんでくるケースは想定しておきたい。

オークス 過去20年 キャリア別の傾向

キャリア着別度数勝率連対率複勝率
  2戦  0-  0-  0-  8/  80.00%0.00%0.00%
  3戦  3-  1-  1- 17/ 2213.60%18.20%22.70%
  4戦  7-  6-  4- 47/ 6410.90%20.30%26.60%
  5戦  4-  7-  4- 45/ 606.70%18.30%25.00%
  6戦  5-  1-  2- 64/ 726.90%8.30%11.10%
  7戦  1-  3-  4- 53/ 611.60%6.60%13.10%
  8戦  1-  0-  1- 23/ 254.00%4.00%8.00%
  9戦  0-  1-  0- 19/ 200.00%5.00%5.00%
  10戦  0-  0-  2-  9/ 110.00%0.00%18.20%

過去20年でキャリア1戦の馬の出走例はなし。キャリア4~6戦がボリュームゾーンで、直近過去10年でも1~3着の合計30頭中26頭が4~6戦。キャリア3戦でオークスを勝った3頭は、2006年カワカミプリンセス・2019年ラヴズオンリーユー・2020年デアリングタクトで、3頭共に3戦3勝のキャリア。言い換えれば、3戦目でフローラS2着とか桜花賞4着といったようなパターンの馬がオークスで馬券になるのは難しいということ。

オークス 過去20年 前走レース(ローテーション)別の傾向

当然のことではあるが、前走桜花賞組が15勝12連対で優勢。桜花賞好走馬はもちろんだが、「桜花賞で掲示板外となった馬の巻き返し例」も少なくない。このタイプに共通しているのは「桜花賞で上位人気(単勝10倍以内)になっていたこと」で桜花賞で人気もなく着順も悪かった馬がオークスで大穴を空けるというケースは期待薄。穴馬を狙うのであれば、2021年ハギノピリナ、2019年カレンブーケドール・2012年アイスフォーリスのような桜花賞以外からのローテーションで好走してきた組。「1~3着を桜花賞組が独占」したのは直近10年では2018年・の1回だけということも踏まえると、他路線組の伏兵は積極的に馬券に組み入れたい。

オークス 過去20年 種牡馬別の傾向

種牡馬選定競争であるダービーと比べると多彩な顔ぶれが揃った結果となっていて、ディープインパクト産駒の優位性が低くなっている点が一つの特徴(ダービーは7勝2着3回)。とはいえ、直近10年で馬券になった30頭のうち25頭がヘイルトゥリーズン系、さらにそのうち23頭がサンデーサイレンス系で大きな枠組みとしてはサンデー系種牡馬優勢である構図は変わらない。

オークス 過去20年 騎手別の傾向

過去20年では福永が3勝(2004・2005・2007)しているが、馬券絡み2009年のジェルミナル(3着)が最後。乗り馬に恵まれなかったという嫌いはないが、ラックの全てが翌週のダービーにいってしまっているような印象。直近10年で強いのは、それぞれ2勝ずつあげているルメール・デムーロで、直近5年もルメール→ルメール→デムーロ→松山→デムーロで、昨年2021年はデムーロ・ルメールのワンツー決着。

オークス 過去20年の傾向と分析 まとめ

  • 上がり重視の競馬も向正面のペースがカギ
  • 上がり2F24秒以下、3F34秒以下の末脚を使える差し馬
  • 不利の小さい枠番・馬番
  • 1番人気の信頼度は高い
  • 桜花賞を人気で敗退した馬の巻き返しに注意
  • 非桜花賞組の人気薄を馬券に組み入れる
  • サンデー系種牡馬
  • ルメール・デムーロ