【重賞回顧】クイーンS

すっかり夏の北海道の定番となったクイーンS。今年は変則開催のため函館での開催。レース直前に振り出した雨も味方につけたテルツェットが差し切り勝ち。

ラップペース

上のグラフは同コースで開催されたOP以上のレース平均(2016年以降)と今回のクイーンSのラップペースとの比較。函館1800mのラップ傾向は概ねレース中盤でペースが緩み3角手前からの上がり勝負になることが多い。4角からの下りや平坦で短い直線であることから一般的には逃げ・先行有利。
今年は行きたい馬も多く向正面でもペースが緩まなかっただけでなくレースが動いたのも一般的な1800m戦よりも早め。さすがにこれでは隊列を引っ張った馬は苦しく最後の1Fラップは急激な失速。

回顧コメント

勝ったテルツェットは道中後半からゆっくりあがっていき、前が止まるのをわかっていたかのような(おそらくわかっていた)競馬。直前の土砂降りでタフなコンディションになった馬場でもしっかり伸びてきた馬も見事だが、レースの流れと勝負どころを間違えなくジャッジした鞍上の手腕もさすが。

2着には人気のマジックキャッスル。人気ということもあり好位にポジションをとっての競馬。ペースがあがったときについていったのも「勝ちにいく」という判断だったのであろうが、レース後に鞍上が「出していかずに持ったままいけばよかった」という趣旨のコメントを残しているように、早仕掛けだった感は否めない。ただ、56kgを背負った上で勝ちにいった結果であり、力負けで完敗したというレースではない。この馬の実力はしっかり出し切ったと思うし、牝馬限定重賞なら明らかに力上位。

3着には格上挑戦のサトノセシル。フランケル産駒ということもあり今回みたいな馬場やラップペースは向いているタイプ。また、直線でテルツェットと併せ馬の形になったのも好走の要因といえそう。格上挑戦での3着は立派だが、今回のレースは色々と条件が特殊だっただけに、自己条件でもレース条件や展開などに注意しながら取捨を検討したい。