昨年の年度代表馬エフフォーリアと連勝中の新星ジャックドールの2強対決ムードが強いが、そのほかにも昨年の当レース勝ち馬レイパパレ、エ女杯勝ち馬アカイイト、年末の香港CでG1勝利に手が届くところまできたヒシイグアス、さらには、アリーヴォ、キングオブコージの伏兵陣から9歳になっても現役続行のマカヒキとなかなかの好メンバーが揃った印象。
今回は、主要な参考レースを簡単に振り返ることに。
【参考】大阪杯の過去レース傾向
参考レースラップタイム比較(2000m戦)
大阪杯(2021年)
昨年の大阪杯は、雨による馬場の悪化による影響も大きかったレース。レイパパレが59.8→60.8のラップで逃げ切り勝ち。数字だけ見るとハイペースで逃げて押し切ったかのようにもみえるが、実際には向正面でしっかり息をいれており、3~4角と後続に脚を使わせながら直線を迎えた鞍上の好騎乗も光ったレース。これに続く宝塚記念の競馬もそうだったように、道中で「一度しっかり息を入れられるかどうか」がレイパパレが好走する上での大きなポイントに。
皐月賞(2021年)
前日の雨が残る馬場状態の中でのレース。向正面から少し早めにレースが動き高いスタミナの要求されるロングスパート戦に。内目の好位でしっかり折り合ったエフフォーリアが4角のコーナーワークを活かして先頭にとりつきそのまま押し切り。2着馬に3馬身差つける完勝であったが実際にはそれ以上に強い内容。中山芝2000mと阪神芝2000mは、直線坂下スタートの内回り1周コースという点でコース形状も似ていることから、阪神芝2000mコースへの適正はまったく問題なさそう。
天皇賞・秋(2021年)
大阪杯出走予定馬では、エフフォーリア・ヒシイグアス・ポタジェの3頭が出走。昨年の古馬G1では最もレベルが高かったと思われる一戦。前半60.5→後半57.4というかなり極端な上がり勝負を上がり3F33.2の脚でエフフォーリアが差しきり快勝。その後JC勝ちのコントレイル・マイルCS勝ちのグランアレグリア、香港C2着のヒシイグアスをダービー以来の休み明けで臨む4歳馬が一蹴してしまったのだから、その後の有馬記念勝ちも当然といった強さ。
皐月賞・有馬記念(ロングスパート戦)/ダービー・天皇賞(瞬発力戦)と展開傾向の違うどちらのレースでもしっかりの能力を発揮しきるのは本当に強い馬だからこそ(下記グラフ参照)。
香港C(2021年)
舞台となる香港のシャティン競馬場芝2000mは、4コーナーポケットからスタートする1周コースで、洋芝仕様・坂なし・平坦という点も加味すると札幌記念のコースをイメージするとわかりやすい。香港の中距離戦は、欧州のレースと似ていて、完全なロングスパート戦でスタートからゴールまで徐々にラップが上がっていく点に大きな特徴があり、全馬が密集した状態で直線を迎えることが多い。ヒシイグアスは道中は内目の後方から進み、4コーナーでから一気にしかけて先頭を伺うもラヴズオンリーユーに惜敗。この馬自体は、東京コースのような瞬間的なギアチェンジ戦よりも、香港や中山・阪神内回りコースのような徐々に全体ラップがあがっていく展開の方が得意そう。
金鯱賞(2022年)
条件戦を連勝で駆け上ったジャックドールが連勝を伸ばし重賞勝ち。59.3→57.9というラップで「逃げて差す」という内容の強い競馬。1分57秒2というレコードタイムも大きな話題になったが、こちらは当日の馬場がかなりの高速馬場だったことを踏まえるとそこまで早い時計でもないということは押さえておきたい。
ジャックドールの勝ちパターンは、勝負所で一瞬の速い足をつかってセーフティリードを作り出すという点に特徴があって、白富士S・金鯱賞共に同じような乗り方。大阪杯でもこれまで同様に「自分の競馬」をさせてもらえるかどうかが大きなポイント(下記グラフ参照)。
2着にはレイパパレが入り、宝塚記念以来に馬券対象になったものの、ジャックドールの作ったペースの恩恵を得られたともいえるので、これでいざ本番・・・といえるような内容であったかといわれるとかなり怪しい印象。
参考レースラップタイム比較(2200m戦)
エリザベス女王杯(2021年)
シャムロックヒルとローザムールのポジション争いで前半は少し早めで向正面までは縦長の隊列。その分・3・4コーナーでのペースがあがらず馬群が密集した形で直線へ。勝ったアカイイトは、3コーナーすぎから一気にマクリあげてそのまま押し切る内容。折り合い面に進境がみられて動きたいときに動いていけるようになった点が非常に大きい。2着ステラリアは、4コーナーのペースアップについていかなかったことが功を奏した形の2着で、牡馬相手のG1戦では、ここでついていけないことが致命傷になる可能性も。15着に大敗したウインマリリンは、オールカマー快勝後の一頓挫が大きく影響していると思われるので度外視してよさそう。
AJCC(2022年)
前半1000m61.2後半1000m59.4、中山2200m戦らしい残り1200m~1000mからのロングスパート戦。3角あたりからマクリ気味にしかけていった馬の1・2着で、勝ち馬の鞍上横山典の巧さも光ったレース。キングオブコージは、ロードカナロア産駒というよりは、母父ガリレオの産駒と思った方がイメージしやすく、まさにこういう流れのレースは得意なタイプ。5着に敗れたポタジェはポジションがとれなかったことが最後まで尾を引いたといえ脚を余す形に。ポタジェ自体も得意パターンがなかなか見えづらい馬で買い時を見極めるのが難しい(が、なんとなく中距離版アルアイン・・・の印象が)
京都記念(2022)
12番人気のアフリカンゴールドが逃げ切り勝ち。前半は確かに超のつくスローペースだったといえるが、特筆すべきは後半1000mが57.4と猛烈に早いこと。その前2戦が2番手から相手なりの競馬だったことを考えると、「自分で主導権を握れたときには強いかもしれない」ということは頭に入れておいた方がよさそうだが、いかにも2200mとか2500mでこそ・・・ってタイプの馬であるのも事実。
参考レースラップタイム比較(1800m戦)
小倉大賞典(2022年)
同じ距離の中山記念と並べてしまうと時計的にかなり見劣ってみえてしまいそうではあるが、この日の小倉はほとんどの馬が終始内をあけて走る少し特殊な馬場。実走距離を考えるとラップタイムはそれぞれ少しずつ上昇修正してイメージしておいた方がよい。アリーヴォはいかにも小倉巧者(これまでの5勝すべて小倉)らしく小回りコースの4コーナーから動いていった勢いでそのままの差し切り勝ち。RPCI45~50前後の競馬でマクリ気味に動けるタイプは大阪杯への適正も高そうと思われるが、54kg→57kgへの一気の斤量増と坂のあるコースでどうか・・・は未知数。スカーフェイスはポジション取りで後手を踏んで脚を余したままの5着で、小倉大賞典の結果それ自体はそこまで悲観視する必要はなし。
中山記念(2022年)
とにかくパンサラッサに尽きる今年の中山記念。いまでは珍しい「暴走型」の逃げ馬。このラップで踏んで行かれて直線入り口まで頑張られてしまえば他馬はなすすべもナシという最強と言えば最強の形のレースで、そのままドバイでG1をとるところまで。6着に敗れたヒュミドールは、開幕週の1800mだとさすがに時計が早すぎるかな・・・という印象で、実際にもポジションを取れずに6着。
大阪杯はどうなる・・・?
大阪杯にパンサラッサがでてきたら・・・ということを考える人は多いと思われるが、パンサラッサがでてくれば、パンサラッサのハナでほぼ決まりと思われるので「展開を推理する」という意味ではパンサラッサ不在のこの組み合わせの方が面白そう。
とはいえ、レイパパレはすでにここ数戦控える競馬が続いているし、アフリカンゴールドもなにがなんでも強引にハナを主張するタイプというわけでもないので、金鯱賞同様にジャックドールがハナに立つ可能性が高いと思われる。
その上で、ジャックドールが「これまでと同様の競馬ができるかどうか」は・・・また次の記事orTwitterにて。自分が鞍上だったら、パンサラッサがいた方が、相手を好きに行かせて自分の競馬だけに専念すればよいので、(勝ち負けは別として)競馬は楽だったなぁ・・・と考えるかも。