【重賞回顧】 宝塚記念

今年の宝塚記念はとにかくクロノジェネシスが強くてルメールが上手かったというレース。そしてその立役者は川田Jのペース判断。

上のグラフは、過去10年の宝塚記念と先日の宝塚記念での、全体走破における1Fラップの割合を並べたもの。宝塚記念の阪神2200は向正面から直線坂下まで緩やかな下りが続くこともありそこに向けてラップが加速していくロングスパート戦になるのが通例。
しかしながら、今年は向正面でまったくペースがあがらず(スローで逃げたいユニコーンライオン坂井をレイパパレ川田がまったく突かなかった)その結果前のこりの上がりとなったというもの。レース後の川田Jのコメントには「我慢」という言葉が何度もでていることからも、陣営としては距離延長をかなりナイーブにとらえていたということなのでしょう。また、スタート直後にレイパパレとユニコーンが接触していることも、このような展開になった一つの理由かもしれない(レイパパレをエキサイトさせないことを最優先させた結果こういう流れになったと解釈することもできそう)
勝ったクロノジェネシスは、ユニコーン・レイパパレ・キセキのすぐ後ろからのいつもより前目での競馬、パトロールをみるとよくわかるのだけど、「いつでも自分は抜け出せる(=包まれて進路がなくなるのを防ぐ)」ことへの配慮が端々にあるところがさすがルメール。必ずしもクロノジェネシス向きとはいえない今日の展開でもしっかり突き放して勝つのだから、現状では日本の現役最強はこの馬で決まりだろうし、バゴの最高傑作でしょうね。凱旋門賞でも・・・とちょっと夢を見てしまいたくなる内容だった。
今回のようなレースになれば、「走った距離の違い」が結果に与える影響が大きくて、ユニコーンが最後の最後にレイパパレを差し替えしたのも走破距離の違い。ただ、レイパパレは2000mまでなんだろうなぁ。なんとなくアルアインとイメージが被るタイプ。6・7着のカデナ・ミスマンマミーアも直線だけ外に出すロスの小さい競馬で、「直線だけ」に徹したのが功を奏した入着でこちらは鞍上のファインプレー。
本命にしたモズベッロは、ロングスパート戦での差し勝負があっている馬なので、今回の展開の一番の被害者。鞍上の池添も道中の流れが緩すぎることを早めに察知して3角すぎからちゃんとまくりにいっているのだけど、切れる脚のないモズベッロには今回の上がりは早すぎるし、終始外々を回った距離損が大きすぎての8着(外を回ったロス分を差し引くと3着くらいにはきている計算なので力負けではないです)。ただ、予想はそういう展開も含めて・・・なので、今回は川田Jの心理を読み切れなかったこちらの完敗というレースでした。