NHKマイルカップ 過去20年の傾向と分析

日本ダービーのトライアルレースとして実施されていたNHK杯を前身とする3歳限定GⅠレース。当時3歳クラシックレースに出走できなかった外国産馬・セン馬や距離に限界のある馬にとっての春の目標として1996年に新設。過去にはキングカメハメハ・ディープスカイがNHKマイル→ダービーの変則2冠を達成している。

NHKマイルカップ 過去レースのラップタイム

馬場2004006008001000120014001600RPCI勝ち時計
200212.310.511.211.312.012.012.011.840.001:33.1
200312.010.911.211.712.011.612.112.738.801:34.2
200412.110.711.111.712.211.611.711.446.501:32.5
200512.511.012.011.912.011.311.311.653.601:33.6
200612.110.811.311.511.811.711.512.541.001:33.2
200712.110.511.612.012.311.511.712.643.401:34.3
200812.211.011.412.112.511.711.212.149.101:34.2
200912.210.811.311.211.711.511.712.042.501:32.4
201012.110.410.911.411.511.511.612.040.401:31.4
201111.910.711.311.811.911.311.411.946.401:32.2
201212.111.012.012.212.611.611.311.753.101:34.5
201312.310.811.311.711.711.311.612.045.601:32.7
201412.011.011.612.011.811.311.512.047.601:33.2
201512.411.111.811.912.111.111.311.853.401:33.5
201612.310.711.311.711.711.311.512.344.401:32.8
201712.410.911.211.611.811.311.311.848.301:32.3
201812.111.111.211.311.711.311.512.046.601:32.2
201912.010.411.511.912.011.311.312.047.001:32.4
202012.310.411.411.912.011.311.212.048.101:32.5
202112.210.211.311.611.611.411.411.943.301:31.6

舞台となる東京芝1600mはスタートから3コーナーまで直線が540m続くコースレイアウト。GⅠレースともなれば前半も当然早く流れゴールまで12秒を切るラップの続くタフなレースになる。また、5月の東京開催は全体時計が早い点も大きな特徴。

NHKマイルカップ 前後半ラップの比較

過去20年(のうち良馬場の年)の平均値をとると、前半3F34.4-上がり3F34.7、前半4F46.0-後半4F46.6、1000m通過58.1。やや前傾(平均RPCI46.7)のラップ傾向ということになるが、1000m58秒のペースでいってもレースの上がりは34.7(平均11.5)と非常に早い。「58秒前半・57秒台なら差し追い込み」という思考に凝り固まると落とし穴にはまりやすいので注意が必要。

NHKマイル 1~3着馬の脚質分布

全体の傾向としては差し馬が優勢の結果に。とはいえ、逃げ・先行馬が全く通用しないというわけではなく逃げ馬による3勝はすべて直近10年以内のもの(2012年カレンブラックヒル、2014年ミッキーアイル・2016年メジャーエンブレム)。また、高速馬場を味方につけて逃げ馬直後の馬が馬券になるケースにも警戒しておきたい。差し・追い込み馬も道中の流れに最低限ついていった上で34秒前半(33秒台)の末脚を繰り出せなければ勝負にならないので、スローからの上がり勝負の結果だけで適性を判断することは難しい。

NHKマイルC 枠番・馬番別の傾向

脚質に見合った有利な枠を引き当てることが重要といえるレース。たとえば、逃げて馬券になった馬はすべて5枠より内で4頭中3頭が馬番5番以内。他方で追い込みで馬券になった馬の多くは真ん中より外で1・2枠で馬券になったのは2頭のみ(2002年テレグノシス・2022年マテンロウオリオン(※大きな出遅れ)))。

NHKマイルC 人気別の傾向

1番人気は過去20年7勝、直近10年3勝。直近10年連対率4割・複勝率5割で1番人気としては心許ない。が、横の力関係がハッキリしない組み合わせになることも多く、2・3着は「荒れる」という前提で馬券を組み立てるべき。

NHKマイルC 前走レース(ローテーション)別の傾向

当初からNHKマイル狙いでローテーションを組んできた馬と皐月賞・桜花賞からNHKマイルに流れた組の対決になることが多い。直近10年で前走重賞以外からで馬券になったのは2014年のタガノブルグ(2着)の1例のみ。また、近年は、マイル路線組・クラシック組共に前走も好走している馬がそのまま馬券になる傾向が強い(2021年2着のソングラインの桜花賞15着は道中不利があってのことなので度外視できる)。

NHKマイルC キャリア・性別の傾向

過去20年傾向ではキャリア6戦の以上の「ある程度経験のある馬」が強い傾向だったものの、近年の「使わないトレンド」や「マイル路線の地位向上」などの影響もあり「キャリアの浅い馬」が強い傾向にシフトしつつある。牝馬は過去20年で4勝2着5回で牡馬の平均よりも好成績かつ回収値もプラス。厳しい流れになるレース故に斤量2kg減の恩恵が効いているとも考えられる。

NHKマイルC 種牡馬別の傾向

ダイワメジャーが3勝・ディープインパクトが2勝もどちらも出走頭数も多く血統だけで判断するのは難しい。注目したいのは、2勝2着2回のクロフネ、2021年勝ち馬を排出したKingmanなどのノーザンダンサー系。

NHKマイルC 騎手別の傾向

現役では、横山典・ルメール・デムーロが2勝ずつで、いずれの勝利も直近10年以内のもの。レースラップそれ自体が厳しく、しかけどころの判断が難しいレースになりやすいだけに巧い・勝負強いというイメージの強いジョッキーが好成績を収めている。ちなみに、戸崎騎手は9回騎乗してすべて着外。そのうち6頭が5番人気以内ですべて人気以下の着順となっているので苦手なレースといえそう。

NHKマイルC 過去レース傾向 まとめ

  • 11秒台のラップが続く厳しいレース
  • 高速馬場での開催が多くトラックバイアスに注意
  • 2頭荒れ・3頭荒れのケースも
  • 前走クラシック(皐月賞・桜花賞)組に注目
  • 前走重賞好走
  • 牝馬
  • 短距離・マイルを守備範囲とするノーザンダンサー系種牡馬
  • ルメール・デムーロ・横山典騎乗馬
  • 脚質にマッチした乗りやすい枠順