サマーマイルシリーズ第3戦
レース創設は1966年で、当初は古馬のハンデキャップ重賞(芝2000m)として創設された。1970年~1974年の芝1800mへの変更を経て、1975年からは現在の芝1600mへ。2001年からは現在の左回り芝1600m(外回りコース)の条件に。負担重量も創設から1983年までは1973年を除きハンデキャップ戦であったが、1983年からは別定戦に変更。
関屋記念 過去レースのラップタイム
馬場 | 年 | 200 | 400 | 600 | 800 | 1000 | 1200 | 1400 | 1600 |
良 | 2002 | 12.5 | 10.6 | 11.3 | 12.0 | 11.6 | 11.1 | 11.0 | 11.7 |
良 | 2003 | 12.2 | 10.7 | 11.4 | 11.7 | 11.1 | 11.9 | 10.9 | 11.9 |
良 | 2004 | 12.5 | 10.8 | 11.5 | 12.0 | 11.6 | 11.2 | 10.6 | 12.1 |
良 | 2005 | 12.3 | 10.7 | 11.6 | 11.9 | 12.0 | 11.3 | 10.6 | 11.9 |
良 | 2006 | 12.9 | 11.0 | 11.7 | 11.7 | 11.7 | 11.3 | 10.1 | 12.1 |
良 | 2007 | 12.8 | 10.6 | 11.0 | 11.2 | 11.7 | 11.8 | 10.3 | 12.4 |
良 | 2008 | 12.6 | 11.3 | 12.1 | 12.3 | 11.6 | 11.0 | 10.0 | 11.9 |
稍 | 2009 | 12.2 | 10.8 | 11.6 | 12.3 | 12.1 | 11.3 | 10.7 | 11.7 |
良 | 2010 | 12.7 | 11.3 | 12.2 | 12.0 | 11.5 | 10.6 | 10.3 | 12.3 |
良 | 2011 | 12.5 | 10.5 | 11.5 | 11.7 | 11.6 | 11.8 | 10.9 | 12.1 |
稍 | 2012 | 12.2 | 10.9 | 11.9 | 12.0 | 11.7 | 11.1 | 10.4 | 11.3 |
良 | 2013 | 12.3 | 10.7 | 11.5 | 11.7 | 11.7 | 11.8 | 10.8 | 12.0 |
稍 | 2014 | 12.6 | 10.9 | 11.4 | 11.6 | 11.6 | 11.5 | 10.8 | 12.1 |
良 | 2015 | 12.2 | 11.5 | 11.7 | 11.5 | 11.4 | 11.2 | 10.7 | 11.4 |
良 | 2016 | 12.5 | 11.1 | 10.8 | 11.3 | 11.4 | 11.9 | 10.8 | 12.0 |
良 | 2017 | 12.4 | 11.1 | 11.7 | 11.4 | 11.3 | 11.1 | 11.0 | 12.2 |
良 | 2018 | 12.4 | 10.6 | 11.2 | 11.5 | 11.5 | 11.2 | 11.0 | 12.2 |
良 | 2019 | 12.6 | 10.9 | 11.2 | 11.8 | 11.5 | 11.8 | 10.8 | 11.5 |
良 | 2020 | 12.2 | 10.9 | 11.5 | 11.7 | 11.5 | 11.3 | 11.6 | 12.4 |
良 | 2021 | 12.7 | 11.0 | 11.3 | 11.6 | 11.5 | 11.4 | 11.2 | 12.0 |
関屋記念の舞台となる新潟芝1600mは、1600mのうちの1200mが直線区間というワンターンコース。また、最後の直線も650m以上の長さがあるだけでなく坂もない平坦コースであり基本的には「上がりの早い競馬」への適用力が重要ポイント。ただ、関屋記念の傾向としては、「高速上がり特化ラップ」の年と、「平均ペースロングスパートラップ」の年とに二極化している傾向があり、今年の関屋記念がどちらになるのかを正しく判断することが大事。
- 1000m通過タイム(直線入り口付近までのタイム)の中間値 58.1(良馬場時)
- 平均RPCI 50.7(良馬場時)
- 勝ち馬の平均PCI 56.13(良馬場時)
- 勝ち馬の上がり3Fタイム 33.41(良馬場時)
展開のポイントはコーナー区間
上のグラフは関屋記念過去20年すべてのレースのラップタイム比較。新潟芝1600mコースの傾向通りに、3コーナーまでの前半600mと最後の直線区間となる上がり3Fタイムは総じて早い傾向で年による違いはさほど大きくない。個別レースでの展開のカギを握るのは、年(レース)ごとの偏差の大きい3・4コーナー区間(中間の約400m)で、逃げ馬がどのようなペース配分で直線をむかえるかの予想が重要。
1ー3着馬の脚質分布
「長い直線での差し脚勝負」というイメージの強い新潟芝1600m。しかし関屋記念では「前残り」の目が少なくないことには注意しておきたい。逃げ馬は過去20年で3勝、2着2回(5連対)、複勝率35%、コースの厳しさを考えれば大健闘。逃げ馬が勝った3例のうち2回はロンスパ型に近いペースだったことにも注目しておきたい(上記折れ線グラス参照)。
2・3着は前よりも中団以降からの「切れるタイプ」が優勢で、2・3着候補を選ぶところから馬券を組み立てるのも有効なレースといえそう。
展開の分岐点は1000m通過58秒5
左は「勝ち馬の1000m通過タイムと上がり3Fタイム」の分布図で勝ち馬上がりタイムの分布を示したもの。右は「1000m通過のレースラップと勝ち馬の1000mラップ差」の分布図で勝ち馬の上がり3F地点でのポジション取りの分布を示したもの。結論としては、1000m通過58秒前後を中心にそれよりも早ければ勝ち馬の上がりは33秒後半から34秒台(持久力ラップに近い流れ)、58秒5よりも遅ければ勝ち馬の上がりが33秒前半以下(「上がり特化ラップ」)になりやすいという傾向になっている。また、勝ち馬の位置取りも1000m通過58秒~58秒5のゾーンから離れるほど「後方からの馬」にとって有利な流れになっていることもわかる。「スロー(隊列が短い)だからこそ差し・追い込み」という傾向のあるコースであることは押さえておきたいポイント。
関屋記念 枠番・馬番別の傾向
枠番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 1- 0- 1-32/34 | 2.9% |
2.9% | 5.9% |
2枠 | 2- 1- 4-29/36 | 5.6% | 8.3% | 19.4% |
3枠 | 2- 1- 3-31/37 | 5.4% | 8.1% | 16.2% |
4枠 | 0- 2- 1-34/37 | 0.0% | 5.4% | 8.1% |
5枠 | 1- 2- 6-31/40 | 2.5% | 7.5% | 22.5% |
6枠 | 0- 6- 1-33/40 | 0.0% | 15.0% | 17.5% |
7枠 | 8- 3- 3-36/50 | 16.0% | 22.0% | 28.0% |
8枠 | 6- 5- 2-37/50 | 12.0% | 22.0% | 26.0% |
馬番 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番 | 1- 0- 1- 18/ 20 | 5.00% | 5.00% | 10.00% |
2番 | 0- 0- 0- 20/ 20 | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
3番 | 1- 1- 4- 14/ 20 | 5.00% | 10.00% | 30.00% |
4番 | 1- 1- 2- 16/ 20 | 5.00% | 10.00% | 20.00% |
5番 | 0- 1- 1- 18/ 20 | 0.00% | 5.00% | 10.00% |
6番 | 2- 0- 2- 16/ 20 | 10.00% | 10.00% | 20.00% |
7番 | 0- 2- 1- 17/ 20 | 0.00% | 10.00% | 15.00% |
8番 | 1- 0- 0- 19/ 20 | 5.00% | 5.00% | 5.00% |
9番 | 1- 1- 2- 16/ 20 | 5.00% | 10.00% | 20.00% |
10番 | 0- 2- 3- 15/ 20 | 0.00% | 10.00% | 25.00% |
11番 | 0- 3- 1- 16/ 20 | 0.00% | 15.00% | 20.00% |
12番 | 4- 3- 0- 13/ 20 | 20.00% | 35.00% | 35.00% |
13番 | 4- 1- 0- 12/ 17 | 23.50% | 29.40% | 29.40% |
14番 | 1- 1- 2- 13/ 17 | 5.90% | 11.80% | 23.50% |
15番 | 0- 2- 0- 13/ 15 | 0.00% | 13.30% | 13.30% |
16番 | 1- 1- 0- 10/ 12 | 8.30% | 16.70% | 16.70% |
17番 | 3- 0- 1- 8/ 12 | 25.00% | 25.00% | 33.30% |
18番 | 0- 1- 1- 9/ 11 | 0.00% | 9.10% | 18.20% |
過去20年・過去10年共に「外枠有利」の傾向が非常に顕著なレース。直線も外有利のバイアスが強くなる頃合いに実施されるレースでもあり、外に出しやすい枠が素直に強いという結果に。内外からプレッシャーをかけられる競馬になりやすい中枠が最も劣勢。
【参考】単勝オッズ10倍未満の馬の枠番別着度数
人気サイドの馬の成績をみても「外枠優勢」が顕著。外の人気馬は信頼、中目の人気馬は割引
関屋記念 人気別の傾向
一番人気は過去20年で7勝、過去10年で3勝、いずれも複勝率80%。「馬券の軸」としての信頼度は非常に高い。また、2・3着についても「とんでもない穴馬」が飛びこんでくるケースは少なく、全体的には本命~中穴程度までの組み合わせ。ただし、2・3番人気の信頼度が非常に低い。1番人気+4~10番人気からの流しやマルチ馬券がおすすめ。
関屋記念 前走レース(ローテーション)別の傾向
前走レース名 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
中京記念HG3 | 3- 6- 2-44/55 | 5.50% | 16.40% | 20.00% |
安田記念G1 | 2- 3- 2- 7/14 | 14.30% | 35.70% | 50.00% |
NSTオ | 2- 1- 1-16/20 | 10.00% | 15.00% | 20.00% |
エプソムG3 | 1- 3- 2-12/18 | 5.60% | 22.20% | 33.30% |
七夕賞HG3 | 1- 2- 0-13/16 | 6.30% | 18.80% | 18.80% |
NHKマG1 | 1- 0- 2- 4/ 7 | 14.30% | 14.30% | 42.90% |
ダービーHG3 | 1- 0- 1- 4/ 6 | 16.70% | 16.70% | 33.30% |
新潟大賞HG3 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.30% | 33.30% | 33.30% |
マイルチG1 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.30% | 33.30% | 33.30% |
パラダイ | 1- 0- 0- 5/ 6 | 16.70% | 16.70% | 16.70% |
北九州記G3 | 1- 0- 0- 3/ 4 | 25.00% | 25.00% | 25.00% |
多摩川H1600 | 1- 0- 0- 2/ 3 | 33.30% | 33.30% | 33.30% |
福島記念HG3 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.00% | 100.00% | 100.00% |
飛鳥S1600 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.00% | 100.00% | 100.00% |
天皇賞秋G1 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.00% | 100.00% | 100.00% |
金鯱賞G2 | 1- 0- 0- 0/ 1 | 100.00% | 100.00% | 100.00% |
米子SH | 0- 1- 2-23/26 | 0.00% | 3.80% | 11.50% |
阪急杯G3 | 0- 1- 0- 1/ 2 | 0.00% | 50.00% | 50.00% |
鳴尾記念G3 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.00% | 100.00% | 100.00% |
都大路SH | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.00% | 100.00% | 100.00% |
ストーH1600 | 0- 1- 0- 0/ 1 | 0.00% | 100.00% | 100.00% |
数の上ではサマーマイルシリーズ組(特に中京記念組)ということになるが、出走馬が多すぎることもあり妙味は低い。それに次ぐ前走安田記念からの馬も、過去20年で2勝2着3回、直近過去10年で1勝2着2回人気になりやすいローテーションであることを考えると配当妙味に欠け、特定の前走レースからローテンションだけで狙い撃ちすることは難しい。
【参考】前走上がり3F順位・PCI別着度数
新潟芝1600mでは「前走上がりの早かった馬」が人気になりやすいコースといえるが、関屋記念では「前走PCIが36~44」の馬の回収率が優れている。言い換えれば、後方から差し届かなかったタイプよりは「それなりに早い流れでポジションをとれていた馬」の方が配当妙味の点で勝っているということ。特にロングスパート型のラップペースとなる年ではこの手のタイプが高配当の使者となるケースが多い。
関屋記念 年齢別の傾向
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
3歳 | 1- 0- 3- 11/ 15 | 6.70% | 6.70% | 26.70% |
4歳 | 6- 5- 6- 30/ 47 | 12.80% | 23.40% | 36.20% |
5歳 | 5- 12- 6- 87/110 | 4.50% | 15.50% | 20.90% |
6歳 | 5- 2- 2- 67/ 76 | 6.60% | 9.20% | 11.80% |
7歳 | 3- 1- 4- 49/ 57 | 5.30% | 7.00% | 14.00% |
8歳 | 0- 0- 0- 16/ 16 | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
牝馬 | 4- 4- 5- 47/ 60 | 6.70% | 13.30% | 21.70% |
馬券になっている馬の数が最も多い5歳馬は「質より量」で注意が必要。馬券の中心は勝率・連対率で抜きん出ている4歳馬。また、馬券絡みとなってケースのほとんどが直近過去10年に集中している牝馬にも注目が必要で、3歳で馬券になっているケースのほとんどは牝馬。
関屋記念 負担重量(斤量)別の傾向
- 基本の負担重量 3歳53kg 4歳以上56kg 牝馬2kg減 の賞金別定
- 収得賞金3000万円超過馬は超過額2000万円毎に1kg増
出走メンバーの顔ぶれ的にも斤量差の小さい別定GⅢといえるが、最も成績がよいのは過去に重賞・OPで好走歴のある基準+1kg(4歳以上牡馬57kg)の組み。ただし、全体時計も上がり時計も早い傾向の強い関屋記念では58kg(以上)まで背負わされるのは割り引いた方がよい。51kgは3歳牝馬によるもので、年齢別傾向でも書いたように3歳馬を狙うなら牝馬から。
【参考】前走負担重量(斤量)との差別の着度数
前走斤量 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
増減無し | 6- 11- 9- 95/121 | 5.00% | 14.00% | 21.50% |
増減±1kg以内 | 15- 17- 17-211/260 | 5.80% | 12.30% | 18.80% |
今回増 | 0- 5- 4- 89/ 98 | 0.00% | 5.10% | 9.20% |
今回1~1.5kg増 | 0- 4- 4- 53/ 61 | 0.00% | 6.60% | 13.10% |
今回2~2.5kg増 | 0- 1- 0- 20/ 21 | 0.00% | 4.80% | 4.80% |
今回3kg以上増 | 0- 0- 0- 15/ 15 | 0.00% | 0.00% | 0.00% |
今回減 | 14- 4- 8- 79/105 | 13.30% | 17.10% | 24.80% |
今回1~1.5kg減 | 6- 2- 4- 62/ 74 | 8.10% | 10.80% | 16.20% |
今回2~2.5kg減 | 4- 2- 1- 8/ 15 | 26.70% | 40.00% | 46.70% |
今回3kg以上減 | 1- 0- 3- 8/ 12 | 8.30% | 8.30% | 33.30% |
前走との斤量差でも増えている馬は基本的に割引で、斤量が軽くなっている馬の方が圧倒的に優勢。サマーマイルシリーズの第1戦・第2戦で勝って斤量が増えたタイプは「相手まで」にしておくのが無難。前走より斤量が軽くなることでパフォーマンス向上が期待できるタイプを狙いたい。ちなみに、前走安田記念からの好走例は前走から斤量2kg(以上)減のタイプが多く、1kg減(58kg→57kg)には勝ち馬がいない。
関屋記念 種牡馬別の傾向
ディープインパクト産駒が過去20年で4勝。ただ、人気サイドの馬が馬券になっている傾向が強く配当妙味は低い。ロングスパートラップになった年ではノーザンダンサー系種牡馬産駒の好走例が多い点には注目しておきたい。
関屋記念 騎手別の傾向
福永が3勝2着2回と合計5連対で、北村宏も3勝。ついで、戸崎・田辺が2勝ずつ。また、芝の重賞で三浦の名前が上にくるのも珍しい。夏は北海道を主戦場とするルメールは騎乗機会2回で1勝3着1回(複勝率100%)、「暑い新潟」にわざわざ遠征してくるケースは「勝算あり」と理解しておいてよい。
関屋記念 狙い馬のプロファイル
- 中京記念(米子S)57kg以上から斤量減(据え置き)となる先行力のある馬
- 前走安田記念から斤量2kg減となる馬
- 前走2000mから距離短縮となる先行力のある馬
- 3歳牝馬
- ルメール騎乗馬