トレードオフバランスマトリクスの読み方

各コース解説記事で用いている「トレードオフバランス」は読み方を覚えるとかなり便利なマトリクスです。このページでは、このマトリクスの基本的な読み方について説明します。

「トレードオフ」とは?

そもそも「トレードオフ」というのは、「Aを得るためにはBを犠牲にしなければならない」という両立しない関係のことを指します。たとえば、品質と価格(良いモノを作ろうとすると価格が高くなる)、収入と自由時間(収入を増やそうとすれば自由時間(プライベート)が減る)といったようなものがトレードオフの一般的な例としてあげられます。

競馬レースの文脈におけるトレードオフ

競馬レースの文脈においては、レースペースと後半の上がりタイムは、トレードオフの関係にあるといえます。シンプル言えば、①前半が早いレースは上がりがかかり、②前半が遅いレースでは上がりが早くなる、③前にいる馬は後ろにいる馬よりも上がりが遅い、④後にいる馬は前にいる馬よりも上がりが早いということです。

A馬前半3F:33.0秒後半3F:34.0秒
B馬前半3F:33.5秒後半3F:33.5秒
C馬前半3F:34.0秒後半3F:33.0秒

グラフの前提となる仮説|交換比率の違い

トレードオフバランスマトリクスは、コース✕クラスにおける「交換比率の違い」に注目をしたものです。
つまり・・・
 ・前にいた方が交換比率で有利
 ・末脚を溜めた方が交換比率で有利
というような、クラス✕コースの組合せ(バイアス)があるのではないかということを検証/見える化することを目的にしています

実際のマトリクスを用いての説明

上記は函館競馬場芝1200mでのクラスごとのトレーオフバランスを比較したマトリクスになります。
x軸(横軸)は、ゴール前600m地点の到達タイム(G600到達タイムと記されているのは私のDBの都合です)
y軸(縦軸)は、上がり3Fタイム(ゴール前600m地点からゴールまでのタイム)
となっています。
それぞれのクラスでの前半最速地点・上がり最速地点を結んだ直線をここでは「トレードオフ成立線」と呼びます

函館芝1200mは割とわかりやすいコースで、クラスがあがるほど成立線がほぼ並行関係で右上に上がっていきます。つまりは、クラスがあがるほど、前半ポジションも後半上がりも早くなるが要求されるというわけです。
ただ、1・2・3勝クラスのクラス間差は、さほど大きくなく、昇級ハードルは比較的低めともいえます。
2歳戦についても、2歳戦開幕直後の時期であることを上手に反映していて、新馬と新馬以外(未勝利戦・函館2歳S)は、新馬戦の成立線を前方に繋ぐような位置関係となっています。函館芝1200mで新馬から未勝利・函館2歳Sへ接続するためには「前半ペースが早くなることへの対応力」が重要であることがこのマトリクスからもハッキリと示されているわけです。

重・不良の取扱い

マトリクスの標本は、各コース✕各クラスで、良馬場✕8頭以上のレースで構成されています。少頭数スローのノイズを排除することが理由です。また、稍重馬場についても、良より・重よりでかなり傾向が変わることが予想されるために集結対象からはずしています。
重・不良については、標本数確保の都合から、古馬1勝クラス+3歳未勝利の中央値を採用しています(他のクラスへはそこからの推測での当てはめとなります)

成立線の傾き/長さが示していること

読者の方の多くにとって一番大事なのは、成立線の傾きや長さの違いが何を示しているかということでしょう

成立線の傾き

  • 成立線の傾きが水平方向にいくほど前にいる馬のアドバンテージが高い傾向があります
    =後にいても脚を使わされやすい(脚を溜めづらい)バイアスがあるということ
  • 成立線の傾きが垂直方向に近づくほど上がり3Fタイムの重要性が高くなります
    =x軸の幅が狭く、y軸方向に長い垂直方向に近づく場合は「多くの馬が同じ位置関係からの上がり比べ」になりやすいコース✕クラスバイアスがあるということです

成立線の長さ

x軸方向の長さ=ゴール前600m地点到達ペース
y軸方向の長さ=トレードオフが整理する範囲での上がり3Fの分布

x軸の右端よりも右側の位置は、トレードオフの比率が一気に悪化するほどの早いペース
x軸の左端よりも左側の位置は、どんなに早く上がりを使っても届かないほど後の位置取り
と理解するとわかりやすいのではないかと思います。

馬場補正

ウェブで公開しているマトリクスは集計期間(2016年から2025年の10年間)の中央値です。したがって、直近レースとは馬場状態にも違いがあります。したがって。直近レースの結果を詳細に分析するためには、標本上の馬場状態と、当該レースの馬場状態との違いを補正してマトリクスを読む必要があります。
(コース✕クラスの大まかな傾向をつかむというレベルではそこまで厳密にみなくても問題ありません)

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